2010年01月14日

こんにちは。名古屋勤務の日沖です。

今回は中島敦さんの山月記について書きたいと思います。

こちらの本はいくつかの短編小説の組み合わせで「李陵」 「弟子」 「名人伝」 「山月記」

「悟浄出世」 「悟浄歎異」の6編で構成されています。

『名人伝』

天下第一の弓の名人になろうと志した紀昌。彼は師を探し名人飛衛に弟子入りをした。

そこで彼が飛衛に課される修行は、まず瞬きせざること を学ぶこと。

彼は妻の機織り台を使い2年の期間を経てこれを習得する。

次に師匠から視ることを学べといわれ3年の修行をし、虱が馬ほどの大きさに見えるようになる

までになる。そして師匠飛衛から奥義を伝授される。

その後紀昌は飛衛を倒そうとするが果たせず、身の危険を感じた飛衛は山にこもる甘蝿老師を

紹介する(この老師のに比べれば飛衛の技量は児戯に類するといわれる)。

そして9年紀昌はこの老師のもとで修行を積み天下一の名人となり山を降りた。

その後の紀昌は弓さえ手に取らなくなり気だけでしのびこもうとして来た者を倒せる腕前になる。

そしてついには、彼が死ぬ2年前弓をみてもその名も使い方も忘れ果てていた、という物語です。

これは紀昌が道具に制約されず無意識のうちに身体が状況に応じて反応できる境地に至った

のではないかと思う。よく剣の名人は自分が相手を斬ったこともわからず相手も斬られたことに

気がつかない、何もなかったかのように自然に相手を斬るといいます。

このレベルが「弓を忘れた」ということと同じではないかなと思い小説ながら関心させられる

かぎりです。

『山月記』李徴は天才として名が知られ若くして高位にのぼるがそれをよしとせず詩家として

名を100年残そうと官を辞し人と交わりを絶ち試作に耽る。

後に生活が困窮し再び官職に就こうとするがかつての仲間は出世し自尊心を傷つけられた李徴は

発狂し行方不明になってしまう。李徴の友人袁惨が旅に出たとき虎になった李徴に会い

語り合う。自分がその性格のために持ち合わせていた才能を空費し、自分よりもはるかに

才能が劣っていたがそれを社会のなかで絶え間なく磨いた為に大詩家となった者がたくさん

いる、と告げる。このやりとりに李徴の悲しみとやりきれなさ虎になった自分へのやりきれなさ

が感じられせつなくなる作品です。

 

老人と海

2009年11月13日

名古屋勤務の日沖です。最近読み終えた小説Hへミングウェイの「老人と海」について書きたいとおもいます。へミングウェイ最後の小説「老人と海」アメリカ小説の1つです。舞台はメキシコ湾岸。

漁師のサンチャゴは84日間もの長い間不漁が続いていた。サンチャゴはもう老人と呼ばれる齢だった。老人を慕う少年マノーリンは言う。「うまい漁師はたくさんいるよ、偉い漁師だっていくらかいるよ、

でもおじいさんだけは特別だ。」こんな言葉を背に老人は1杯のコーヒーを全食糧とし海にでていく。

孤独な小船の上で話相手もいずかつての記憶をたどりながらそして独り言を呟きながら「あたり」を待つ。そして過去最大の18フィート(老人の乗っている小船よりも大きい)カジキマグロの あたりを感じる巨大なカジキマグロに4日間も挑み続ける老人サンチャゴのカジキマグロとの対話が
生き生きとした描写で描かれている。
サンチャゴは祈り続け時々「あの子がいたらなあ」と呟く。
意識があやしくなりながらも自分を励まし魚に対して兄弟のような愛情をおぼえていく。
そしてついに老人は勝つ。
老人は船に魚をくくりつけ帰港する。
その帰港中カジキマグロの血のにおいを嗅ぎつけた鮫に何度もおそわれ老人は鮫と戦い続ける。
その戦いの中での鮫との対話が老人の生きてきた人生そのものに思える。
そして帰港した時には魚は残骸に背骨と尻尾のみだった。
そして少年と会話した後、老人は眠りにつきライオンの夢をみる。この老人の姿がヘミングウェイ
の姿を想起させる気がします。
表現や描写が海外文学ということで難しく理解しがたい箇所もありますが読んで価値のある本だ
と思います。

こんにちは。名古屋勤務の日沖 快です。

2009年09月18日

先日、本屋でみつけすぐに読破した本があります。中嶋博行先生の書いた「第一級殺人弁護」という本です。この本はとてもスリリングで読み手を夢中にさせる本です。主人公は横浜の雑居ビル街で小さな個人事務所を開く貧乏弁護士京森英二。彼は購入した自宅のローンと事務所を維持していく為日々小額の事件に追われる毎日を送る。

日弁連と各都道府県の弁護士会が創設した当番弁護士制度がありそれは弁護士が交代で毎日待機して逮捕された被疑者のもとに無料で駆けつけ法的アドバイスをする制度です。この制度は国家権力であり法的知識もある検察側と、犯罪を犯したと疑われる個人(被疑者)に力の差があり取調べ段階で発生する自白強要などの冤罪を防ぐ為に設けられた起訴前の段階で弁護士が介入する制度です。

主人公の京森はこの当番弁護士制度に登録していてその京森が嫌々ながら金にならない事件を引き受けていく。

「不法在留」「措置入院」「鑑定証拠」「民事暴力」「犯罪被害」の5編からなる。

1つ1つのテーマが措置入院、DNA鑑定、不良債権、異常犯罪などの法律知識が多く描かれているが一般の読者にもわかり易くかつ事件の展開にどきどきしながら読み進めていける文章でかかれている。中嶋博行先生は作家であると同時に弁護士で難しい法律用語をかみくだき読者の知的好奇心を刺激し小説を読み進めていける。また主人公の京森は面倒な事件は嫌いで事なかれ主義である。この嫌々引き受ける当番弁護に結局はどっぷりと事件にはまっていく。人間くさいキャラクターで親しみやすい。フィクションだが事件の展開もリアリティーがあり読み易く今まで読んだ本の中でも推薦できる本のひとつです。